Modern Monetary Theory(MMT)と主流派の齟齬と一致を解剖する

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  • Modern Monetary Theory(MMT) ト シュリュウハ ノ ソゴ ト イッチ オ カイボウ スル

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抄録

本稿では, MMT派と主流派の間における経済論議上の齟齬と一致について論じた。財政破綻に関しては, 通貨発行権と変動相場制を有する国での受動的な財政不履行の不在について両者が一致することを確認した上で, 「再定義された財政破綻」について双方の主張を吟味した。財政「黒字」問題, 及び政府部門赤字と民間部門赤字の非対称性についても両面から検討した。金融システム・金融政策論については, 信用創造・内生的貨幣供給理論の点での両者の乖離を指摘しつつ, 主流派側による"整合論"について, 様々な面から批判を加えた。財政政策論については, まずクラウディング・アウトとマンデル・フレミング効果について, MMT派的な金融財政理解に基づけばいずれの効果も自明ではないことを論じた。リカード=バローの中立問題, FTPL, 政府債務の将来世代負担問題については, いずれも経済財政状況についての前提によって議論が左右されることを確認した。最後に, 財政の硬直化については, MMTと主流派の懸念が協調的であることを指摘した。

収録刊行物

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 122 (1-2), 95-110, 2022-04

    大阪市立大学経済学会

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