哺乳類の冬眠〜寒冷と飢餓を乗り切る低代謝・低体温戦略

  • 中川 哲
    北海道大学 低温科学研究所 生物環境部門 冬眠代謝生理発達分野 北海道大学 大学院環境科学院 生物圏科学専攻
  • 山口 良文
    北海道大学 低温科学研究所 生物環境部門 冬眠代謝生理発達分野 北海道大学 大学院環境科学院 生物圏科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Mammalian hibernation ~ the survival strategy for harsh seasonswith cold and little food by hypometabolism and hypothermia
  • ホニュウルイ ノ トウミン : カンレイ ト キガ オ ノリキル テイタイシャ ・ テイタイオン センリャク

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抄録

<p>哺乳類の冬眠は,体温保持のためのエネルギーコストが増加するにも関わらず食料が不足する寒冷環境を生き延びるための生存戦略である.冬眠の際には熱産生と熱反射を能動的に抑制することで,環境温度付近まで体温が低下した低体温・低代謝状態となる.哺乳類の中で冬眠を行うものを冬眠動物と呼ぶ.冬眠動物は,ヒトやラットなど,冬眠しない哺乳類には備わっていない,低温耐性,季節特異的な脂質代謝増強機構,筋萎縮耐性,概年リズムといった,興味深い性質を数多く備えている.こうした性質は先天的なものと,季節に応じて誘導される後天的なものとに分けられることが近年の研究から明らかになりつつある.本稿では,冬眠の基本的背景を解説するとともに,分子機構解明に向けたモデル冬眠動物であるシリアンハムスターを用いた私たちのアプローチを紹介する.</p>

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