意味のある支援 : 重度の精神障害者の地域生活を支える看護実践の現象学的研究
書誌事項
- タイトル別名
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- MEANINGFUL SUPPORT: Phenomenological study of a nursing practice that supports community life for people with severe mental illness
- イミ ノ アル シエン ジュウド ノ セイシン ショウガイシャ ノ チイキ セイカツ ヲ ササエル カンゴ ジッセン ノ ゲンショウガクテキ ケンキュウ
説明
本研究の目的は,重度の精神障がい者への地域生活を支える看護実践の構造を,現象学的手法により明らかにすることである.ACT(Assertive Community Treatment, 包括型地域生活支援プログラム)で働く看護師らに対して個別インタビューを行った.今回は,ACT での経験が5 年目となるA看護師の実践の構造について報告した.A看護師の実践は,表面的には捉えにくい事象への関心と「難しい」という感触を出発点として「支援しなきゃいけない」という規範を含む,必然性を帯びた形で展開していた.そして,その実践は,利用者自身で「考える」という「苦労」や「経験」を通して,「責任」を負うことで「できることを増や〔す〕」支援であった.こうした利用者の主体化を目指して働きかける支援を「意味」のある支援と称していた.「ホールディング」は,規範に促されて発動した支援を,他者との関係を繋ぎなおしながら利用者の主体化へと繋いでいくためであり,距離を推し量りながら接近し利用者の気持ちや生活状況の背後にあるものを読み取るのは,支援を「意味」のあるものへと方向付けていくための基盤となっていた.日本の精神医療政策が『入院医療中心から地域生活中心へ』と舵を切る中,A看護師のような支援の在り方を知ることが,自らの実践を省察する契機となり,ひいては,精神疾患を抱える当事者の『地域生活中心』を拡充することに寄与していくものと考える.
収録刊行物
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- 臨床実践の現象学
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臨床実践の現象学 5 (2), 16-29, 2022
臨床実践の現象学研究会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390573482953164928
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- DOI
- 10.18910/87537
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- HANDLE
- 11094/87537
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- KAKEN