ABO血液型不適合生体腎移植後の細菌感染症が急性抗体関連拒絶反応に与える影響についての検討

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抄録

<p>【緒言】ABO血液型不適合腎移植では脱感作療法が不十分な場合や、移植後導入期の感染症がaccommodationの誘導・成立を妨げる大きな因子といわれている。</p><p>【対象と方法】2009年から2021年3月までに当科で施行された生体腎移植122例のうち、ABO血液型不適合移植46例について、細菌感染症が急性抗体関連型拒絶反応AMRの発生に与える影響を後方視的に検討した。発熱を伴いGram陰性菌を分離し、治療を要した場合を細菌感染症と定義し、脱感作療法は全例でリツキシマブ200mg、DFPP2回、PEX1回が実施された。</p><p>【結果】細菌感染症は10例(甲群)で、拒絶反応は1例もなかった。術直前抗A抗B抗体価IgG、IgM(中央値)はそれぞれ、1倍(1倍以下-64倍)、2倍(1倍以下-8倍)、感染後は、1倍(1倍以下-32倍)、2倍(1倍-2倍)であった。</p><p>残りの36例(乙群)のうち、2例は術後1週間でAMR、2例は2ヶ月以降にACRを発症していた。甲・乙群で脱感作療法前の抗体価IgMが64倍vs16倍(p=0.049)と有意差を認めたが、その他の背景や、脱感作療法以降の抗体価、術後腎機能に有意差は認めなかった。</p><p>【考察】移植後に発熱を伴う細菌感染を疑った場合は即座に培養、empiricな抗菌薬投与を行うことで、移植後1~2週間のcritical periodにGram陰性菌への暴露により発症するとされるⅡ型のAMRを抑制している可能性が示唆される。</p><p>【結語】ABO血液型不適合生体腎移植後の細菌感染症への迅速な対応によりAMRは認めなかった。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 56 (Supplement), s112-s112, 2021

    一般社団法人 日本移植学会

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