プロピオン酸血症に対する生体肝移植の術後成績

DOI
  • 中尾 俊雅
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 三森 浩太郎
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 栁 佑典
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 堀川 玲子
    国立成育医療研究センター 内分泌・代謝科
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター

この論文をさがす

抄録

<p>【背景】プロピオン酸血症(PA)はプロピオニオニルCoAカルボキシラーゼの活性低下によって,高アンモニア血症,中枢神経障害,心障害を含む様々な症状を呈する.肝移植は欠損酵素の補充目的に行われており,当院で施行したPAに対する生体肝移植の治療成績を報告する.</p><p>【対象】 2005年11月から2021年5月に小児生体肝移植を施行した604例のうち,PA患者9症例(遺伝子診断:8例,酵素活性診断:1例)を対象とした.</p><p>【結果】術前全症例において、代謝不全に対する加療が必要で,7例に血液浄化療法を施行した。1例で心不全に対してECMO施行したが、術前に心機能が回復し肝移植適応となった。その他の症例では術前心機能は保たれていた.頭部MRIでは1例にびまん性の脳萎縮を認め,2例に異常信号を認めた.移植時の月齢は16.7ヶ月,ドナーは父親4例,母親5例,グラフトは外側区域グラフト8例,Hyper-reducedグラフト1例であった.術後に代謝不全となったのは1症例1回のみであり,点滴加療で改善した.発達評価(FSIQ)は術前後で大きな変化を認めなかった.心障害は1例に心電図上QT延長を認めたが,心筋症は認めなかった.フォローアップの中央値は5年5か月である.全例生存し,修学年齢に達した3例中2例が支援学級に通学中である.</p><p>【結語】PAに対する生体肝移植術後の成績は良好であり,代謝不全予防や神経学的予後改善の観点から,コントロール不良なPAに対しては肝移植が考慮されるべきである.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 56 (Supplement), s156-s156, 2021

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ