治療に難渋した重度の肝不全と脳症を有する三尖弁閉鎖不全症の1例

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  • A Case of Surgical Repair for End-Stage Tricuspid Regurgitation with Severe Liver Dysfunction and Hepatic Encephalopathy

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抄録

<p>高度肝不全を有するテザリングによる重症2次性三尖弁逆流症に対して,スパイラル・サスペンション法と高心拍出の周術期管理を行い救命できたので報告する.症例は77歳の女性,慢性徐脈性心房細動(心拍数50 bpm前後)である.74歳時に重度の三尖弁・僧帽弁逆流を指摘された.心不全,肝不全ともに悪化傾向で,肝性脳症も生じたため精査治療入院となった.術前の肝機能評価ではChild-Pugh分類はGrade Cであり,開心術のハイリスクであった.そのため心不全治療を強化した上で,手術の可否を判断することとした.ペースメーカ移植(VVIモード80 bpm)によって心拍出量は増加し(心係数の変化:挿入前2.97 L/min/m2→挿入後5.17 L/min/m2),心不全症状と総ビリルビン値(治療前3.9 mg/dl→治療後1.7 mg/dl)は改善したため手術を行った.三尖弁逆流はスパイラル・サスペンション法,弁輪拡大による僧帽弁逆流は弁輪縫縮術で修復した.術後は大動脈内バルーンパンピングによって心係数を4.3 L/min/m2から5.8 L/min/m2で維持し,中心静脈圧は10 mmHg以下で管理した.術後30時間で抜管し術後54日目に独歩自宅退院となった(退院時総ビリルビン値1.5 mg/dl).術後1年6カ月の時点で三尖弁逆流は軽度以下に制御され,独歩外来通院中である.</p>

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