小児に発症した中毒表皮壊死症 (TEN) の 1 例

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タイトル別名
  • A Pediatric Case of Toxic Epidermal Necrolysis (TEN)
  • ショウニ ニ ハッショウ シタ チュウドク ヒョウヒ エシショウ(TEN)ノ 1レイ

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抄録

<p>14 歳,男児。初診 2 週間前よりてんかんに対してカルバマゼピン(テグレトール®)が開始された。初診時,結膜充血,顔面の紅色丘疹,口腔内びらん,体幹に紅色丘疹を認め,重症薬疹が疑われ緊急入院となった。入院翌日から紅色丘疹は融合し,眼瞼結膜の充血の悪化,口唇,口腔内に粘膜びらんがみられるようになった。びらんは体表面積の 10%未満で Stevens-Johnson 症候群 (SJS) と診断した。しかし徐々に表皮剝離は進行し,入院 3 日目より表皮剝離は全体の 10%以上となった。先行する感染症はなく,カルバマゼピンが被疑薬と考えられ,本邦基準で中毒表皮壊死症 (TEN) と診断した (国際基準 : SJS/TEN overlap)。治療はプレドニゾロン 40 mg/day の内服から開始し,ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量静注療法を施行したところ,入院 12 日目より良好な経過を得た。本症例はカルバマゼピンで重症薬疹を起こしやすいとされている遺伝子型 : HLA-A*3101 および HLA-B*1502 の保有はなかった。小児の SJS/TEN は成人に比べ,感染症とくにマイコプラズマ感染症が原因と考えられる症例が多いとされるが,成人同様に抗けいれん薬を使用する際は注意が必要と考えた。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (2), 100-103, 2022-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (5)*注記

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