10.獲得免疫を介した特異体質性肝毒性の予測

DOI

抄録

特異体質性薬物毒性(idiosyncratic adverse drug reactions: IADRs)は、通常の非臨床安全性試験では検出できず、臨床試験や市販後に顕在化する副作用である。IADRsの主要ターゲットは皮膚及び肝臓であり、特に薬疹や特異体質性の肝毒性(idiosyncratic drug-induced liver injury: iDILI)は、薬剤が開発中止や市販後に警告・販売中止に至る主要因となる有害事象である1)。薬剤性の肝毒性には、非臨床の安全性試験で検出可能なタイプ(intrinsic DILI)と、検出されないタイプ(iDILI)があり、製薬企業にとってはどちらも避けるべき毒性であるが、研究者は自身の選択する評価系が、どちらのタイプをターゲットとしているかを理解することが重要である。例えば、スクリーニング段階におけるラット肝細胞を用いた細胞毒性試験は、intrinsic DILIをターゲットとしたものである。この試験は、少量の化合物を用いてハイスループットで実施できることから、評価スピードや動物福祉の観点から動物試験のサロゲートとしては有用な試験であるが、iDILIを回避するパラメーターとしては不適な可能性がある。本稿では、予測が難しく、製薬企業にとって致命的となるiDILIをターゲットとし、iDILIを避けるためにどのような評価系が有用なのかについて紹介する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390573792568770432
  • DOI
    10.50971/tanigaku.2020.22_74
  • ISSN
    24365114
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ