ランゲルハンス細胞組織球症における病態解明と治療の展望

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タイトル別名
  • Elucidated pathogenesis and therapeutic prospects in Langerhans cell histiocytosis

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説明

<p>ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis, LCH)は未熟樹状細胞の増殖症で,現在,炎症性骨髄性腫瘍に分類される。臨床像と転帰は,自然治癒する孤発骨型から,致死的となる肝または脾,造血器浸潤陽性多臓器型(高リスク)まで,さまざまである。LCH細胞には,mitogen-activated protein kinase(MAPK)シグナル経路の遺伝子に唯一の変異があり,これがドライバー変異となる。病型はどの造血分化段階で変異が入るかによって決まる。LCH細胞は,oncogene-induced senescenceによりアポトーシス耐性とsenescence-associated secretory phenotypeを獲得し,また,リンパ節への遊走不全をきたしている。これらにより,病変部へのLCH細胞の集簇と種々の炎症細胞の動員が生じ,重度の炎症をきたす。組織傷害はLCH細胞の増殖ではなくこの炎症による。初期治療に反応しない高リスク患者は,MAPK阻害薬によって病勢を低下させた後,同種造血幹細胞移植で救済される可能性がある。骨再発を減らすためのzoledronate静注と,続発障害である神経変性症を防ぐためのcytarabine髄注が日本で試みられている。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 63 (5), 373-382, 2022

    一般社団法人 日本血液学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390573792574606848
  • DOI
    10.11406/rinketsu.63.373
  • ISSN
    18820824
    04851439
  • PubMed
    35662160
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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