2008 年以降の領域「表現」のテキストの分析 ―保育現場における子どもが音・音楽を聴き探索・探究する事例に焦点をあてて―

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Textbooks Pertaining to the Domain of Expression Published Since 2008 : A Focus on Sounds and Music in Early Childhood Education

抄録

本研究は保育者養成校のテキストに示された子どもが音・音楽を聴き、探索・探究する事例の分析を通して、子どもの創造性を育む音・音楽の体験とはどのようなものかを明らかにすることを目的としたものである。そして、その知見を踏まえて、領域「表現」の指導法において学生が理解しておくべき事項について検討することを目的とする。2008 年以降に刊行された領域「表現」のテキストから19 冊を抽出し、保育現場における子どもが、音・音楽を聴き探索・探究する事例58 件の分析を行った。その結果、事例の内容を「音に気づいて聴く」「音を聴きながら探索する」「音を意図的につくる活動」「楽器遊び」「声の表現・歌の創作」「リズムや拍を楽しむ」の6つに分類することができた。これらの分析を通して、子どもが「音を鳴らしたりする遊びの中で耳を澄ませて聴くことを中心に、五感を働かせ環境に関わりながら、色々な音を探索・探究していく」「身近なモノや声などを使って、即興的に応答しながら音楽をつくり出す」等を体験することにより、創造性が育まれていくという知見が得られた。また、そうした子どもの創造性は、原初的なフェーズ・探索のフェーズ・探究のフェーズという3つのなだらかな段階の中で育まれていくことも見いだされた。以上から、学生が理解しておくべき点は、子どもの表現を受け止め、子どもが今、どのフェーズの中で体験しているのかを把握し支えることであると示した。

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