都市近郊水田における昆虫個体数に対する殺虫剤散布と飛翔捕食者の影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of insecticide application and flying predators on insect abundance in a suburban paddy field

抄録

<p>総合的病害虫管理( IPM)および総合的生物多様性管理( IBM)を推進していくためには、殺虫剤による化学的制御だけではなく天敵による生物的防御についての定量的評価を行う必要がある。本研究では、都市近郊水田に殺虫剤の散布と防護ネットによる飛翔捕食者の除去の有無を組み合わせた 4つの簡易的な実験区( 7m×7m)を設置して、昆虫の個体数比較を行った。実験区間での個体数変化を目別に比較すると、殺虫剤散布区で減少したのは、カメムシ目、バッタ目、ハエ目、コウチュウ目、捕食者除去区で増加したのは、カメムシ目、バッタ目であった。昆虫全体の個体数の 85%を占めた主要害虫のカメムシ目では、トビイロウンカ Nilaparvata lugensが殺虫剤散布区で個体数減少、ヒメトビウンカ Laodelphax striatellusが天敵除去区で個体数増加、ツマグロヨコバイ Nephotettix cincticeps、イナヅマヨコバイ Recilia dorsaris、マダラヨコバイ Psammotettix striatus、ヒメヨコバイ Empoasca vitisが両方の変化を示した。したがって、本研究で行った簡易的な実験によって、飛翔捕食者と殺虫剤散布は水稲害虫個体数を減少させるのに効果的であったのに対して、殺虫剤散布は害虫以外の節足動物の個体数を減少させることが示された。</p>

収録刊行物

  • 保全生態学研究

    保全生態学研究 27 (1), n/a-, 2022-04-28

    一般社団法人 日本生態学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574036142596352
  • DOI
    10.18960/hozen.2023
  • ISSN
    24241431
    13424327
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ