Neuro-otology in Space Medicine: Exploring the Pathogenic Mechanisms of Space Motion Sickness

DOI
  • 石井 正則
    JCHO 東京新宿メディカルセンター 耳鼻咽喉科 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室
  • 加藤 雄仁
    東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室
  • 望月 文博
    聖マリアンナ医科大学 耳鼻咽喉科学教室
  • 伊藤 友祐
    聖マリアンナ医科大学 耳鼻咽喉科学教室

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抄録

<p> 無重力環境ではさまざまな神経学的症状が発生し,宇宙酔いの症状として現れるもの(そのほとんどは乗り物酔いと同じ)は非常に重要である.この観点から,宇宙開発事業団(現JAXA)と共同で,健康な男性ボランティアを被験者に頭部を動かしながら様々な加速度負荷をかけることにより,自律神経系の動き,ストレスホルモンの変化,乗り物酔いの発生率を調査した.また,バーチャルリアリティのヘッドセットを介して提示される視野情報の表示のタイミング,または表示位置が,被験者の頭部の動きに対して変化した場合の乗り物酔いの発生率を調べた.頭部と目の動きが予想外に非同期状態になると,乗り物酔いの発生率は増加し,ACTHやADHなどのストレスホルモンが急速に増加した.3日間連続して刺激を与えると適応が起こり,乗り物酔いの発生率は急激に減少した.緩やかなコリオリ刺激によって交感神経系が異常に興奮した被験者では,その後のより強い刺激により,乗り物酔いが有意に高い割合で誘発され,乗り物酔いに対する感受性に自律神経系が関与していることを示唆している.乗り物酔いは,予想外の空間や時間に非同期した情報に起因し,また脳内で適応過程を引き起こす状態でもあると考える.</p>

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 39 (2), 113-125, 2022-06-25

    日本神経眼科学会

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