P-1-D2-10 唾液アミラーゼ測定によるストレス評価と対応

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目的 重症児(者)は、日常生活で様々なストレスを感じているが表出が難しく、外側からはわかりにくい。 今回、体調の変化とともに感情の表出が少なくなったA氏を対象に、唾液アミラーゼ測定器を用い、身体的・精神的ストレスを理解し、軽減に役立てる研究を行ったので報告する。 方法 1.対象者 A氏 年齢:39歳 男性 脳性麻痺 痙直型四肢麻痺 大腸癌(stage3) 2.方法 測定時間を指定し、測定時の覚醒、体位、注入の有無を記録するためにチェックリストを作成し、5日間ストレス値を測定する。測定結果からストレス要因を探り、軽減するための方法を検討し軽減されるか検証する。倫理的配慮のもとに本研究を行うため、倫理委員会にて承認を得た。 成績 脈拍が上昇するとストレス値も上昇し、覚醒時と入眠時のストレス値を比較すると覚醒時の方が高値だった。注入中の平均ストレス値は左側臥位145、仰臥位67、右側臥位141、注入なしの場合は左側臥位83、仰臥位55、右側臥位87だった。(単位:kU/L) 結論 ストレス値と脈拍との関連性から、入眠時はストレスが少ない状況だといえる。注入時の姿勢におけるストレス値は、左側臥位時に高値を示し、注入による腹部圧迫に伴う苦痛であると考えられる。主な体位は仰臥位と左側臥位であったことから、左側臥位を見直すことにより、安楽に過ごすことができるのではないかと考えた。 そこで背中の変形、側わん、頸部の回旋に合わせたクッションを作製した。結果、新しい左側臥位では45分経過してもストレス値が上昇する頻度は少なくなり、これは長時間経過しても体幹のずれが起こらず、腹部の圧迫が少なくなったためと考えられた。 唾液アミラーゼの分泌や活性は様々な因子の影響を受け、変化をもたらす別の因子や、環境設定など考慮するべき点も多い。今後同研究においてはそれらの点を考慮し、個別性を理解したうえで使用方法を検討し選択していく必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574036142773248
  • DOI
    10.24635/jsmid.37.2_325_2
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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