O-1-A-05 重症心身障害児者の誤嚥症例に対する喉頭気管分離術の適応時期の検討

DOI

抄録

はじめに 重症心身障害児者(以下、重障児者)の保存的に管理困難な誤嚥性肺炎に対しては、外科的処置として喉頭気管分離術(LTS)がある。しかし、その適応時期に関しては迷うところもあると思われる。われわれのLTS症例を検討しその時期を考えてみた。 症例 2004年1月から2012年5月までの全LTS症例159例である。 結果 年齢は1歳から54歳(平均20.5歳)であった。男性90例、女性69例であった。術前に気管切開を施行してあった症例は85例であった。術中の合併症はなかった。術後合併症は、口側盲端の縫合不全が2例、創感染が2例であった。術後に呼吸管理を必要とする肺炎が1例あった。術後気管腕頭動脈瘻を形成した症例は6例であった。そのうち救命できたのは4例であった。気管腕頭動脈瘻以外の死亡例は9例であった。 考察 LTS術後は、気管内よりの分泌物が減少し、肺炎の罹患も減少している。誤嚥性肺炎により人工呼吸管理が必要だった症例で術後に人工呼吸器から離脱できた症例もある。また経口摂取が可能になった症例もある。気管内吸引の減少や人工呼吸器からの離脱により行動範囲が広がり、患者のみならず、家族や養育者のQOLが向上していると思われる。合併症としては、気管腕頭動脈瘻の発生があるが、カニューレフリーやカニューレの長さを調節することで予防できると思われる。LTSにて声は失われるが、嚥下が安心してできるようになる。経口摂取は重障児者にとっても大きな楽しみであると思われる。LTS術後の胸部CTで、多くの症例の肺野に、誤嚥による線状索状陰影や無気肺像などを認めた。誤嚥性肺炎を繰り返している症例では、胸部CTにて誤嚥による肺の器質的変化を認めたときには早めにLTSの適応を考慮したほうが良いと思われた。 まとめ 重障児者の繰り返す誤嚥に対してLTSは有用であり、LTSの適応決定には胸部CTが有用である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574036154346496
  • DOI
    10.24635/jsmid.37.2_257_1
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ