O-1-A-06 気管腕頭動脈瘻予防のため胸骨部分切除を行った1例

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抄録

はじめに 長期に人工呼吸器を使用している重症心身障害児(者)は必然的に気管カニューレを挿入されている。そのことにより致命的な合併症として気管腕頭動脈瘻があり、今まではその予防として、腕頭動脈離断術がよくしられているが、今回われわれは胸骨部分切除により有効であった症例を経験したので報告する。 症例 症例は29歳男性。出生時の遷延分娩、胎児仮死により脳性麻痺、知的障害となる。18歳時に単純気管切開、20歳時に喉頭気管分離術を施行されカニューレフリーにて経過観察されていた。平成22年10月頃より高CO2血症が徐々に進行し、平成23年10月にはPCO2 >100mmHgとなり人工呼吸管理のため気管カニューレを留置しようと試みた。胸部CTにて気管が腕頭動脈と胸椎の椎体により圧迫され、5mmまで狭窄している所見を認めたため、急遽、他病院呼吸器外科へ加療目的にて転院した。呼吸器外科により手術は前胸部にT字切開を加え、胸骨上部部分切除、腕頭動脈の遊離、および胸腺と切断した胸鎖乳突筋で気管と腕頭動脈間を被覆している。術中の所見では腕頭動脈による圧迫が解除されたにもかかわらず気管の変形は同様で気管狭窄は解除されなかった。術後の胸部CTで、胸骨部分切除により前方へ偏位した腕頭動脈と気管の間に十分な距離があり、気管カニューレを挿入することが可能になった。現在は気管カニューレを留置し夜間のみ人工呼吸器を使用することでPCO2は改善を認めている。 まとめ 腕頭動脈の圧迫により気管狭窄を認めたが、胸骨部分切除術により気管腕頭動脈瘻の予防に至った症例を報告する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574036154348288
  • DOI
    10.24635/jsmid.37.2_257_2
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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