P-2-D3-04 重症心身障害児(者)における赤血球膜中脂肪酸組成に関する研究

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  • −3年間の組成変化を踏まえて−

抄録

はじめに 重症心身障害児者は身長、体重ともに歴年齢基準以下のことが多い。さらにけいれんの有無、筋緊張の程度、呼吸状態によって栄養必要量が異なり栄養評価が困難である。赤血球膜中脂肪酸組成は数週間前からの摂取内容を反映し栄養指標として重要である。 目的 当施設における長期契約入所者の必須脂肪酸摂取効果を明らかにするために赤血球膜中脂肪酸組成分析を検討した。 対象と方法 I群:大島分類Iに相応するも経口摂取可能な児者8名(平均年齢43.4±5.7歳)、II群:大島分類Iに相当し経管栄養を行っている児者11名(3年間、同一かつ同量経管栄養を使用)。II群は22:6n−3(ドコサヘキサエン酸(DHA))および20:5n−3(エイコサペンタエン酸(EPA))が含有されている栄養剤使用群をIIa(5名平均年齢13.8±4.8歳)、含有していない栄養剤使用群をIIb(6名、平均年齢26.2±8.0歳)に分けて検討した。赤血球膜中総脂質はBlighらの方法に準じて抽出しAgilent社製ガスクロマトグラフにて組成を測定した。 結果 (1)栄養摂取量(kcal/kg/day)について:各群間に有意差は認めなかった。(2)n−6系脂肪酸について:22:4n−6(アドレン酸)はIIb群が他群に比し有意に高値であった。20:4n−6(アラキドン酸)はIIa群が他群に比し有意に低値であった。(3)n−3系脂肪酸について:EPAはIIa群が他群に比べて有意に高値であった。DHAはIIb群が他群に比べ有意に低値であり、I群、IIa群は既知の健康人報告例と同等の含有量を示した。(4)II群(11名)における3年間の組成変化:アドレン酸およびアラキドン酸は2009年と比べて有意に高値を示し、リノール酸および18:3n−3(αリノレン酸)は2009年と比べて有意に低値を示した。 考察 EPAやDHAを含有しない栄養剤を長期間使用してもαリノレン酸からの内因性EPAおよびDHAの産生を期待することは難しく、EPAおよびDHAを含有した栄養剤を摂取することで健康人の値にまで補うことが可能であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574036154366208
  • DOI
    10.24635/jsmid.37.2_349_2
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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