イオン学習をどのように位置づけるか : 旧教育課程における中学校教師のアンケートを通して

書誌事項

タイトル別名
  • How Should the Study of Ions be Positioned in Secondary School Education? : A Questionnaire Survey of Lower Secondary School Teachers
  • イオン ガクシュウ オ ドノ ヨウ ニ イチヅケル カ キュウ キョウイク カテイ ニ オケル チュウガッコウ キョウシ ノ アンケート オ トオシテ

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説明

<p>イオン学習は,中学校理科においては生徒が理解しにくい内容であると指摘されてきた。そして現学習指導要領(平成10 年告示)では,改訂によりイオン学習が中学から高校へ移行され,義務教育段階では扱う必要のない内容となった。しかしイオン学習を巡る問題は理科教育における重大な問題をはらんでおり,イオンが削除されたことの影響は大きいと考えられる。そこで本研究では,はじめに自然科学におけるイオンの位置づけを確認し,中学校理科の教育課程の組み立てについての整理を行った。続いてイオン学習の関連事項について,中学校教師に詳細なアンケート調査を行い,イオン学習の理解度や位置づけについての実態を明らかにした。これらの視点から改めて中学校理科におけるイオン学習の実態や位置づけについて調在・検討を行った。中学校教師に対するアンケート結果から中学校段階でのイオンの学習の必要性が強く示された。その理由は以下の3点に要約できる。(1) イオンは自然科学教育の根本要素(基礎・基本)である。(2) イオンは生活者としての科学的リテラシーの重要要素である。(3) イオン学習は思考カ・探究心の育成や化学の面白さを伝えるのに良い内容である。「イオン」は自然科学およびその教育において紛れもなく基礎・基本的な事項であり,重要な根本要素である。イオンを削除した現学習指導要領下では他の多くの学習内容について,削減,質の変化,説明できないことなどが生じてきている。すなわちイオンの削除は,単なる学習内容の3割減に止まらず多くの学習内容の質的変化をもたらした。イオン学習が多少難解な内容であったにしても中学校理科できちんと学習する必要がある。その際,教育内容の組み立ての再構築を模索する必要がある。イオンを含めた粒子概念の早い時期での導入は,学習の系統性を考えた場合に大変魅力的であり,教育現場からの要望も多い。</p>

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 46 (1), 15-24, 2005-09-01

    一般社団法人 日本理科教育学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (1)*注記

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