石灰焼成キルンの燃料転換

  • 井戸 成之
    大王製紙株式会社 可児工場 パルプ動力部 動力課

書誌事項

タイトル別名
  • Fuel Conversion of Lime Kiln

抄録

大王製紙グループでは,脱炭素社会の実現に向けて「2050年にカーボンニュートラルを目指す」ことを宣言している。CO2排出量を削減していく上でパルプ製造設備を有する製紙工場では石灰キルンの重油からの排出が大きな要因になっており,石灰キルンのCO2排出量削減が課題となっている。石灰キルンの重油からのCO2排出削減は,一般的には石灰焼成の効率を上げ重油使用量を削減することが行われており,CO2排出原単位の低い燃料に転換することはあまり行われていない。<br>可児工場ではCO2排出量を削減するため,石灰キルンの重油をCO2排出原単位の低い都市ガスに転換し,国内の製紙工場ではあまり見られないガス専焼キルンとなった。燃料転換後の操業状況は,石灰焼成については重油燃焼時と変わらずできており,ダムリングの成長が抑えられたことで連続操業できる期間は長くなった。燃料原単位は,若干増加しており,石灰焼成に適したガス燃焼を確立することが今後の課題である。<br>CO2排出量は,燃料を都市ガスに転換したことにより,2022年度には燃料転換前の2019年度と比較して11,173 t-CO2/年,可児工場CO2排出量の8.9%を削減する見込みである。<br>今後,インフラ側のCO2排出原単位低減が進むことで更なる排出量削減が期待できる。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 76 (6), 513-516, 2022

    紙パルプ技術協会

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