5p- 症候群患者の歯科治療時の全身麻酔管理経験

DOI
  • 四戸 豊
    岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座歯科麻酔学分野
  • 坂野上 和奏
    岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座歯科麻酔学分野
  • 伊藤 元
    岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座歯科麻酔学分野
  • 佐藤 州
    岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座歯科麻酔学分野
  • 宮前 善尚
    岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座歯科麻酔学分野
  • 筑田 真未
    岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座歯科麻酔学分野
  • 佐藤 健一
    岩手医科大学歯学部口腔顎顔面再建学講座歯科麻酔学分野

書誌事項

タイトル別名
  • An experience of dental treatment under general anesthesia for a patient of 5p-syndrome

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抄録

<p>5p- 症候群は第5 常染色体の短腕の欠損によって全身に種々の障害をもたらす染色体異常症候群の1 つである.乳幼児期に子猫のような甲高い声を認めるためcat cry syndrome(ねこ鳴き症候群)とも呼ばれている.今回われわれは,心室中隔欠損症(以下VSD)を合併した5p- 症候群患者の歯科治療時の全身麻酔を経験した.患者は37 歳男性(身長150 cm,体重40 Kg)で下顎右側水平埋伏智歯の診断により全身麻酔下での抜歯術が予定された.出生時に5p- 症候群と確定診断され,そして先天性心疾患も合併していた.心疾患は内服治療による対処療法のみが行われ,根治術は施行されていなかった.患者は重度の精神発達遅滞があり,歯科治療に対して協力できなかったため,全身麻酔下での治療が計画された.麻酔導入はミダゾラム2.5 mg,フェンタニルクエン酸塩50 ㎍,レミフェンタニル塩酸塩 0.1 γで静脈持続注入し行った.そしてロクロニウム臭化物 40 mg により筋弛緩を得た後,ノーマルチューブを挿管した.挿管困難度はグレード2 であった.麻酔維持は空気,酸素,プロポフォールで行った.循環動態はおおむね安定し.SpO2 とECG も正常範囲内で臨床的問題となることはなく,手術時間20 分,麻酔時間80 分で終了した. VSD を合併した5p- 症候群患者の歯科治療時の全身麻酔管理を経験した.先天性心疾患患者の管理には,病期の進行に応じた周術期管理が必要であり,循環器内科と連携を図ることを再確認した.</p>

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