斎藤幸平 : 『人新世の「資本論」』 : (集英社, 2020年)

書誌事項

タイトル別名
  • Kohei Saito, The Capital in Anthropocene, Shuei-sha, 2020
  • サイトウ コウヘイ ヒトシンセイ ノ シホンロン シュウエイシャ 2020ネン

この論文をさがす

説明

I はじめに : 本書は, カール・マルクス研究を基礎に, 人類が地球を破壊しつくす時代である「人新世(ひとしんせい)」にあって, 環境危機を脱し, 人類が住み続けるための地球を求める. 『コモン』(共有)を構造とする社会構築を目指し, 『脱成長コミュニズム』への道程を提案する意欲的な論旨明快な著である. マルクスの経済思想の基礎は, 「生産力至上主義」であったが, 晩年期では, 資本主義の本質を超克した『コモン』の復活を構想した, と気鋭の著者は闊歩する. 尚, 「人新世(Anthropocene)」は, ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツエンが使用した用語である. 地質学的に見て, 地球は新たな年代に突入し, 人間たちの活動の痕跡が, 地球の表面を覆いつくした年代である. 工業化など人間の影響が地層に残る時代であり, 人類が築いてきた文明の時代でもある.

収録刊行物

  • 季刊経済研究

    季刊経済研究 40 (1-4), 108-114, 2022-03-31

    大阪市立大学経済研究会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ