同族会社の留保金課税に関する実証分析

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抄録

<p> 現在,企業財務の健全化という観点から,同族会社の留保金課税は減税の方向に向かっている。このような留保金課税改革の流れに対して,本稿は節税目的による内部留保の蓄積を抑制することが重要であり,留保金課税のさらなる縮小や廃止を推し進めるべきではないことを,租税の公平性の観点から主張するものである。</p><p> 本分析では,同族的な企業ほど節税を目的として内部留保する傾向が強いことを明らかにするため,「内部留保率は,財務状況が悪い企業だけではなく,同族色の強い企業ほど高い」という仮説を立て検証することにした。その結果,同族色の強い企業ほど内部留保率が高いという仮説が支持された。これにより,留保金課税が適用される同族会社であっても留保控除額が大きいことから,留保金課税が十分に機能していないことが指摘できるとともに,同族会社とそれ以外の会社との間で,租税の公平性が保たれていないことが明らかとなった。</p>

収録刊行物

  • 財政研究

    財政研究 4 (0), 131-147, 2008

    日本財政学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574212771118976
  • DOI
    10.50898/pfsjipf.4.0_131
  • ISSN
    24363421
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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