脳脊髄液漏出症の裁判例

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タイトル別名
  • Judicial precedents of cerebrospinal fluid leakage
  • ノウ セキズイエキ ロウシュツショウ ノ サイバンレイ

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抄録

<p> 脳脊髄液漏出症(脳脊髄液減少症)が損害賠償法の裁判にあらわれ,重要な論点となったのは,2005年が最初である.</p><p> 当時,難治性のむち打ち症を脳脊髄減少症と診断する一部の医師,研究者が精力的に訴訟に証人,鑑定人として参加し,それを裁判所も受け入れて,むち打ち症イコール脳脊髄液減少症と判断する裁判例が増加するに至った.</p><p> しかし,診断基準が確立しておらず,各地方裁判所の判断もまちまちで,訴訟実務に混乱を来していた.そのような中で,各学会や国の機関(厚生労働省),あるいは国際頭痛学会の国際頭痛分類(以下ICHD)などから相次いで診断基準が発表された.</p><p> 裁判所も徐々にこれらの診断基準を吟味し,各診断基準で示されたものの中から,基本的なものとして,①起立性頭痛と脳脊髄液の漏出画像のどちらか一方がなければ否定,②起立性頭痛のあること,を最低条件として,これにICHD-3βと厚労省基準を組み合わせて,脳脊髄液漏出症の有無を判断するという方法が主流になっている.</p>

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