句に下接する「くさい」について : アンケート調査に基づいた「ぽい」との比較を通して<研究論文>

抄録

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「くさい」は通常、形容詞や接尾辞として用いられるが、近年では句に接続する用法が出現・増加している。本稿では、「ぽい」と比較しつつ「句接続のくさい」の意味拡張、許容度、前接する要素の性質、使用実態などをアンケート調査の結果を基に論じる。まず、回答者による句接続の例文評価から、句接続用法の「くさい」「ぽい」ともに二重推量での使用には違和感があること、年齢層が上がるにつれて許容度が低くなることの二点を示す。次に、前接する要素 について、「ぽい」は左右されないが、「くさい」はその要素がプラスの意味を持つ場合に不自然さが増すということを指摘する。句接続の用法に関して、「ぽい」は使用する人や場面が適していれば許容されるが、「くさい」は間違った日本語として捉えられていることが確認できる。最後に接尾辞の助動詞化という面で体系的に整理し、「ぽい」は助動詞として定着する手前である一方、「くさい」は年代により許容度に偏りがある未定着の用法であると結論づける。

収録刊行物

  • さいたま言語研究

    さいたま言語研究 4 26-37, 2020

    埼玉大学大学院人文社会科学研究科日本語専攻内 さいたま言語研究会

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