腹水を伴う卵巣莢膜細胞腫を背景に悪化した骨盤臓器脱と鼠径ヘルニアの1例

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  • PELVIC ORGAN PROLAPSE AND INGUINAL HERNIA AGGRAVATED BY OVARIAN FIBROTHECOMA WITH ASCITES

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抄録

<p>骨盤臓器脱と鼠径ヘルニア悪化の背景に,腹水貯留を伴う良性卵巣腫瘍があった症例を経験した.症例は61歳女性,陰部下垂感を主訴に紹介された.Stage III膀胱瘤で自覚症状は軽く,行動療法のみ行った.8カ月後に下垂感と排尿困難が急に悪化し,直後に鼠径ヘルニア嵌頓による腹痛を起こした.腹部超音波検査・MRI・CTで10.6×9.0cmの内部不均一な腫瘤と腹水を認め,卵巣癌腹膜播種疑いで急遽手術となった.単純子宮全摘術・両側附属器切除術・腟断端吊り上げ術を行い,病理診断は卵巣莢膜細胞腫であった.術後経過は良好で,Meigs症候群と同様に腹水は術後速やかに消失した.鼠径ヘルニアに対する処置は行わなかったが,術後18カ月は良好な状態が保たれた.そこで増悪しヘルニア根治手術が行われた.骨盤臓器脱や腹水の再発は認めていない.</p><p>腹腔内腫瘤・腹水貯留は腹腔内圧上昇を起こし,骨盤臓器脱や鼠径・臍・腹壁ヘルニアのリスク因子となる.骨盤臓器脱とヘルニア性疾患の合併例では,腹腔内圧上昇につながる背景疾患の可能性を念頭に置く必要がある.</p>

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