富士山頂における3m深地温測定(2008-2010年) ―永久凍土の存在確認と長期変化把握に向けて―

書誌事項

タイトル別名
  • Monitoring of 3m-profiles of ground temperature on the summit area of Mt. Fuji (2008-2010): Toward elucidation of permafrost occurrence and its long-term change
  • 富士山頂における3m深地温測定(2008年-2010年)--永久凍土の存在確認と長期変化把握に向けて
  • フジ サンチョウ ニ オケル 3mシンチオン ソクテイ 2008ネン 2010ネン エイキュウ トウド ノ ソンザイ カクニン ト チョウキ ヘンカ ハアク ニ ムケテ

この論文をさがす

抄録

1970年代初頭に,富士山頂における永久凍土の存在が報告され,近年は気候変動によるこの永久凍土への影響が注目されている.年平均気温が-6℃前後であることからも,山頂部に広く永久凍土が存在することは半ば自明と考えられていたが,2008年より山頂部の2箇所で深さ3mまでの地温を約2年間測定したところ,永久凍土の存在は確認されなかった.1地点目では,季節的な凍結深が深く,3m以深に達したが,夏期の激しい降雨の度に大きな地温上昇が記録され,深さ2~3mの凍土も秋期の激しい降雨イベントによって急速に融解した.2地点目では,積雪が地表の冷却を妨げることによって季節的な地中凍結の程度が弱く,降雨浸透による加熱も加わり,1地点目より高い地温で推移した.地温変化は年々変動が激しく,凍土は熱的に不安定な状態であることが今回の調査で示唆されたため,現時点で利用できる情報では近年の気候変動による富士山頂の地中環境への影響を評価することは難しい.今後,富士山における地表層温度および凍土の長期変化の評価は,地表面微気象観測とあわせて,多点におけるより深部までの長期間の連続的な地中観測を拠り所にして行う必要がある.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 73 (2), 119-131, 2011

    公益社団法人 日本雪氷学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (36)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ