重複腎盂尿管を術前に診断し全腹腔鏡下子宮全摘術を安全に施行できた2例

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タイトル別名
  • Two cases of preoperative identified duplicated renal pelvis and ureter for safety total laparoscopic hysterectomy
  • チョウフクジンウニョウカン オ ジュツゼン ニ シンダン シ ゼン フククウキョウ カ シキュウ ゼンテキジュツ オ アンゼン ニ シコウ デキタ 2レイ

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抄録

<p>腹腔鏡下子宮全摘出術(total laparoscopic hysterectomy;TLH)は開腹手術に比べて侵襲が少なく,審美性に優れ出血量が少なく,さらに入院期間も短いため近年普及してきている.TLHでは,腹式子宮全摘出術と比較して尿管損傷の頻度が有意に高いと認識されている.今回,術前静脈性腎盂造影検査(drip infusion pyelography;DIP)で重複腎盂尿管であった症例に対し,術中に尿管ステントを留置し,TLHを安全に施行できた2例を経験したので報告する.症例1は49歳女性.子宮筋腫,過多月経,筋腫の増大のため当院に紹介受診となった.妊娠分娩歴は1妊1産(1回帝王切開).術前DIPで左尿管は2本あり,腸骨レベルで融合し以下は1本になっていたことより,左不完全重複尿管を疑い,尿管ステントを留置し手術を施行した.膀胱鏡で左右尿管口が1個ずつであることより,左不完全重複尿管と診断した.症例2は45歳女性.過多月経,貧血を主訴に前医を受診し,子宮筋腫の診断で手術加療目的に当院に紹介受診,GnRHアゴニスト5コース施行後手術の方針となった.妊娠分娩歴は3妊3産(3回帝王切開).術前DIP検査で両側完全重複尿管を疑い,術中に尿管ステントを留置し手術を施行した.2症例とも尿管ステント抜去後にインジゴカルミンを静脈投与し,膀胱鏡で膀胱損傷のないことおよび全尿管口から青色着色尿の流出を確認した.尿管損傷など合併症なく手術を終了している.尿路奇形が存在する場合,解剖学的な誤認から尿管損傷など重大な合併症につながる可能性があるため注意が必要であるが,術前DIP検査や術中膀胱鏡による尿路奇形の探索および尿管ステント留置が合併症回避に有用であると考えたため若干の文献的考察を含め報告する.〔産婦の進歩74(3):343-350,2022年(令和4年8月)〕</p>

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