介護保険受給者台帳の資格喪失記録を死亡代理変数として使用することの妥当性の検討

  • 佐藤 幹也
    筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 住友重機械工業株式会社人事本部安全衛生グループ
  • 伊藤 智子
    筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 筑波大学ヘルスサービス開発研究センター
  • 谷口 雄大
    筑波大学人間総合科学学術院
  • 大森 千尋
    筑波大学人間総合科学学術院
  • 金 雪瑩
    筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 筑波大学ヘルスサービス開発研究センター
  • 渡邉 多永子
    筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 筑波大学ヘルスサービス開発研究センター
  • 高橋 秀人
    国立保健医療科学院
  • 野口 晴子
    早稲田大学政治経済学術院
  • 田宮 菜奈子
    筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 筑波大学ヘルスサービス開発研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Validation of using disqualification from long-term care insurance registry as a proxy of death
  • カイゴ ホケン ジュキュウシャ ダイチョウ ノ シカク ソウシツ キロク オ シボウ ダイリ ヘンスウ ト シテ シヨウ スル コト ノ ダトウセイ ノ ケントウ

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抄録

<p>目的 介護保険総合データベース(介護DB)の導入により,悉皆的な介護保険研究が可能になった。反面,介護DBでは死亡情報が含まれず他データとの突合も制限されているため,死亡に関する研究は実施困難である。本研究では,統計法に基いて入手した介護保険受給者台帳(受給者台帳)と人口動態統計死亡票(死亡票)を用いて,受給者台帳の受給資格喪失記録を死亡の代理変数として使用することの妥当性を評価した。</p><p>方法 受給者台帳に記録された受給者情報の月次断面を2007年4月から2017年3月まで累積し,介護度が自立または年齢が65歳未満の者を除外した510,751,798件を研究対象とした。受給者台帳の異動区分コードが終了の場合を受給資格喪失とし,これと死亡票とを確定的マッチング(性別,生年月日,死亡年月日,居住市区町村)で突合できた場合を死亡例として,受給資格喪失の死亡に対する検査特性(感度,特異度,陽性反応的中率,陰性反応的中率)を算出した。</p><p>結果 受給者台帳510,751,798件中の5,986,991件(1.17%)で受給資格喪失となり,うち5,295,961件の死亡が特定された。受給資格喪失の死亡に対する感度は100%,特異度は99.9%,陽性反応的中率は88.5%,陰性反応的中率は100%だった。陽性反応的中率を層別化すると,2012年以前は85~88%程度,2013年以降は91%前後,男性(91.9%)は女性(85.9%)よりも高く,年齢階級(65-69歳:80.6%,70-74歳:86.7%,75-79歳:86.4%,80-84歳:86.7%,85-89歳:88.0%,90-94歳:90.6%,95歳以上:93.4%)や要介護度(要支援1・2含む要支援:72.2%,要介護1:79.7%,要介護2:85.9%,要介護3:89.3%,要介護4:92.3%,要介護5:94.0%)とともに上昇した。</p><p>結論 受給資格喪失を死亡の代理変数として用いると偽陽性が1割程度発生するため,受給資格喪失を死亡率そのものの推計に用いるのは適切ではない。しかし曝露因子間の交絡の影響や曝露因子の死亡への効果が過小評価される可能性があることに留意すれば,受給資格喪失を死亡の代理変数としてアウトカムに用いることは許容できると考えられた。</p>

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