線維性過敏性肺炎のステロイド治療における気管支肺胞洗浄液中のリンパ球分画と予後との関連

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  • Impact of Lymphocytosis in Bronchoalveolar Lavage Fluid on Corticosteroid Treatment in Fibrotic Hypersensitivity Pneumonitis

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抄録

<p>背景と目的.線維性過敏性肺炎(hypersensitivity pneumonitis:HP)の治療において,気管支肺胞洗浄液(BALF)中のリンパ球分画はステロイド治療の適応判断に用いられている.一方で,BALF中のリンパ球分画がステロイド治療後の生命予後に影響するのか,またリンパ球分画に応じた治療反応性は異なるかについては報告が乏しいことから,今回検討を行った.方法.ステロイド治療を行った線維性HP 62例を対象とした.BALF中のリンパ球分画と治療後の生命予後の関連について,多変量解析を行った.治療反応性の評価として,リンパ球分画の高値群(≧40%, n=14),中間値群(10~39%, n=26),低値群(<10%, n=22)に層別化し,治療から1年後の画像スコア(ground-glass attenuation[GGA]score,fibrosis score)の変化,1年間の努力肺活量(percent predicted forced vital capacity:%FVC)の推移,生存率について比較を行った.結果.全体集団の多変量解析では,低いリンパ球分画や,リンパ球分画の中間値(10~39%)や低値(<10%)は,%FVCやextensive GGAなどと独立した生命予後不良因子であった.リンパ球分画のサブグループ解析では,GGA scoreと6カ月後の%FVCはいずれの群でも改善を認めた.一方で,中間値群と低値群ではfibrosis scoreは悪化し,高値群と比較して生存率は低く,生存期間中央値は高値群,中間値群,低値群で順に未到達,69カ月(P=0.089),37カ月(P=0.049)であった.さらに各群をextensive GGAの有無で層別化すると,3群いずれでもextensive GGAがないと生命予後は不良であった.結論.線維性HPにおいて,BALF中のリンパ球分画40%未満の症例ではステロイド治療後も線維化は進行し,中でもGGAが乏しい症例は特に生命予後不良な可能性があり,治療開始後も慎重な管理が必要である.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 44 (4), 259-267, 2022-07-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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