上腸間膜動脈起始部断裂にて発症した血管型Ehlers-Danlos症候群の13歳男児例

  • 古金 遼也
    国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科
  • 藤野 明浩
    国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科
  • 内田 佳子
    国立成育医療研究センター総合診療部救急診療科
  • 狩野 元宏
    国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科
  • 野坂 俊介
    国立成育医療研究センター放射線診療部
  • 金森 豊
    国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター臓器移植センター
  • 梅澤 明弘
    国立成育医療研究センター再生医療センター
  • 義岡 孝子
    国立成育医療研究センター病理診断部
  • 要 匡
    国立成育医療研究センターゲノム医療研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Vascular Ehlers-Danlos Syndrome in a 13-Year-Old Boy With Fatal Spontaneous Rupture of the Superior Mesenteric Artery: A Case Report
  • ジョウチョウカンマク ドウミャクキシブダンレツ ニテ ハッショウ シタ ケッカンガタ Ehlers-Danlos ショウコウグン ノ 13サイ ダンジレイ

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抄録

<p>症例は13歳男児.突然の上腹部痛と嘔吐を主訴に近医を受診した.血液検査では異常はなかったが,腹痛が強く当院に紹介となった.独歩で来院したが,診察中にショック状態となった.超音波検査にて上腸間膜動脈起始部から広がる後腹膜の広範な血腫を認めた.血圧維持が困難となり,救急外来でバルーンカテーテルによる大動脈遮断を行い,緊急手術に移った.腹部血管は脆弱で剥離操作にて次々と動脈が断裂し止血は困難であった.下半身血流遮断3時間が経過し,腹部臓器への虚血による損傷が非可逆的となり救命困難と判断し閉腹した.術後3時間で死亡した.剖検時に摘出した動脈の組織像で,壁内の弾性線維の著しい断片化を認め,また血液検体のゲノム解析にてCOL3A1遺伝子に新規病的バリアントを認め,血管型Ehlers-Danlos症候群と確定診断された.急性発症で原因不明の後腹膜血腫の場合,稀だが本疾患も鑑別に加えて診療する必要がある.</p>

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