ジノテフランの妊娠期・授乳期投与によるマウスの次世代に及ぼす影響

DOI
  • 田中 豊人
    東京都健康安全研究センター 薬事環境科学部
  • 多田 幸恵
    東京都健康安全研究センター 薬事環境科学部
  • 鈴木 仁
    東京都健康安全研究センター 薬事環境科学部
  • 守安 貴子
    東京都健康安全研究センター 薬事環境科学部

書誌事項

タイトル別名
  • Reproductive and neurobehavioral effects of maternal exposure to dinotefuran in the F<sub>1</sub>-generation mice

抄録

<p>【目的】ネオニコチノイド系殺虫剤であるジノテフランのマウスを用いた妊娠期及び授乳期投与の行動発達毒性試験を行い、マウスの次世代の行動発達に及ぼす影響の有無について検討する。</p><p>【方法】ジノテフランを混餌法により0%(対照群)、0.012%(低濃度)、0.03%(中濃度)、0.075%(高濃度)となるように調製してCD1マウスのF0世代の雌に妊娠期及び授乳期に投与して、次世代マウスの行動発達に及ぼす影響について検討した。</p><p>【結果】F1世代の授乳期における仔マウスの体重は21日齢の雌雄の投与群で増加した。F1世代の授乳期間中の行動発達では雄仔マウスの14日齢の嗅覚性指向反応の所要時間が中・高濃度群で促進された。雌仔マウスでは7日齢の断崖回避が用量依存的に14日齢の嗅覚性指向反応の経路が中・高濃度群で抑制された。F1世代の3週齢の探査行動では雄仔マウスの排尿個体頻度が用量依存的に増加し、雌仔マウスの立ち上がり関連項目が用量依存的に増加した。F1世代の8週齢の探査行動では雄マウスの平均立ち上がり時間が延長し、雌マウスの立ち上がり時間が短縮した。F1世代の自発行動では平均立ち上がり時間の経時変化は雄では平行幅が有意に異なり、雌では高濃度群で20分及び40分で抑制された。</p><p>【まとめ】本実験においてジノテフランの妊娠期及び授乳期投与により、授乳期間中の行動発達や探査行動に投与によると思われる影響が観察され、投与終了後の次世代の成体マウスの探査行動や自発行動でも投与によると思われる影響が観察された。本実験で用いられたジノテフランの用量はADI値を基に算出されたものであるが、人の食品からの推定摂取量(15.75μg/kg/日)はADI値(0.2mg/kg/日)の1/12以下であるので、食品からのジノテフランの摂取量では人の健康に対して影響を及ぼさないものと思われる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574666166583552
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-182
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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