3次元人工自家骨構築用ナノフェライト粒子の安全性評価と細胞応答

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タイトル別名
  • Safety evaluation and cellular response of nano-ferrite particles for 3D artificial autogenous bone

抄録

<p>【目的】我々はオーダーメイドの人工骨作製法として強磁性であるナノフェライト粒子(NFPs)に注目した。NFPsを細胞に取り込ませ、外部磁界で細胞を制御し、ニーズに応じた3次元構築と石灰化による細胞由来人工骨の作製が最終目標である。本研究では自作NFPsの安全性と細胞応答を骨芽細胞(OB)で評価した。</p><p>【方法】NFPsは酸化鉄で作製し、そのサイズは走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。NFPsのOBに対する細胞毒性はNFPsを0.04〜0.57 mg/mLの濃度で24時間暴露し、Alamar Blue(AB)法で評価した。また、OBに対するNFPsの細胞応答評価として、NFPsの取り込み量の濃度と時間への依存性をフローサイトメリー(FCM)で評価し、NFPsの取り込み像を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。さらにNFPs暴露によるOBの石灰化機能への影響をAlizarin Red (AR) で染色後、定量評価した。</p><p>【結果】本実験で使用したNFPsは約20 nmであった。TEM観察結果でNFPsはOB内に多量に蓄積していたが、本実験の暴露濃度ではAB法で評価した生存率への影響は非常に少なかった。FCMの結果からNFPsの暴露濃度は0.14 mg/mL以上で取り込み量が最大になると判明した。取り込み量は暴露から4日でピークになり、それ以降は減少した。OBの石灰化能はNFP濃度で違いが見られ、0.57 mg/mL以上で石灰化機能に影響が出る事が示された。</p><p>【考察】我々が自作したNFPsはOBに大量に取り込まれるものの、細胞毒性は非常に低かった。また、FCMの結果から、暴露後4日目以降で取り込まれたNFPsが排出される可能性が示されており、長期的に見ても安全性が高いと考えられる。一方でOBへの取り込み量とは関係なく、高濃度のNFPsで石灰化が阻害されている。これはOBに取り込まれなかったNFPsが細胞外で起こる石灰化結節の形成を阻害した可能性がある。</p><p>【展望】本研究から自作NFPsは安全性が高いと考えられる。今後は導出した最適条件で外部磁界によるNFP内包OBの3次元造形と石灰化の評価を行い、オーダーメイド人工自家骨の新規開発へ繋げたい。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574666166609280
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-144
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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