メダカの発がん性

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  • Carcinogenesis in medaka

抄録

<p>【発がん性試験の代替法】小型魚類の発がん性試験は1980-90年代に種々の強力な肝発がん性物質について実施されており、げっ歯類と比較して短期間で発がんすることが報告されている。一方で、非変異原性肝発がん性物質や肝臓以外の臓器での発がんの検出力は低く、発がん性試験の代替法としては不十分と考えられている。</p><p>【肝発がん】メダカはアルキル化剤などの強力な変異原性肝発がん性物質に対し、特に高い感受性を有している。メダカにメチルアゾキシメタノールを2ppmにて24時間曝露し、経時的に病理組織学的に検索した。肝細胞は速やかに壊死/消失した後、再生/増殖し、肝実質は再生性過形成結節によって置換され、曝露後60日には結節内に腫瘍が散見された。メダカの肝臓ではDNA修復酵素活性の低いことが知られており、これに加え、急速に肝細胞が増殖したことにより短期間で肝発がんに至ったものと推察された。</p><p>【鰾発がん】メダカなどの無気管鰾(消化管と繋がっていない鰾)を有する魚では、孵化直後、鰾は気道で消化管と繋がっており、水面にて空気を取込むことで鰾を膨らませる。その後、気道は消失し、鰾はガス腺細胞から放出される酸素により膨らんでいる。孵化直前のメダカ胚を孵化後6日まで、密閉した水槽で飼育することで空気の取込みを阻害した。メダカでの自然発生の鰾の腫瘍は極めて稀とされているものの、空気の取込み阻害により約半数のメダカにおいて鰾が閉塞し、これら全てのメダカで孵化後13日以降、鰾のガス腺由来の腺腫が誘発された。鰾が閉塞したメダカでは孵化後24日にTBARSが増加していたことから、鰾閉塞による発がんには活性酸素が密接に関係しているものと推察された。</p><p>【まとめ】メダカの発がん性試験はげっ歯類の代替法として不十分であるものの、メダカはげっ歯類と比較して、極めて短期間で発がんすることから、この特性を利用することで、in vivoでの遺伝毒性肝発がんポテンシャルや抗酸化作用などの評価への可能性が示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574666166695552
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_s35-3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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