安全域に着目した分子標的機能性食品の開発という概念の構築と評価

DOI
  • 長野 一也
    和歌山県立医科大学薬学部 大阪大学大学院薬学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Construction and evaluation of a novel strategy of developing molecularly targeted functional foods with a wide safety zones

抄録

<p>超高齢社会を迎え、医療費が増大する本邦においては、機能性食品を有効活用し、未病状態を制御することが求められている。そのためには、安全性が担保され、様々な身体の不具合に対応可能な機能性成分を取り揃える必要がある。一方で、現在までに届出されている機能性表示食品を眺めると、上位5品目の成分で全体の約30%を占めており、効能と安全性が担保された成分を使い回しているのが現状である。これは、機能性食品の開発戦略が、個別開発中心で、新規機能性成分を効率よく見いだすことが困難なことに起因している。したがって、新規機能性成分を網羅的に探索し、高品質な機能性食品を効率よく開発するための基盤が求められている。</p><p>この点、医薬品開発では、分子標的治療薬が全盛を迎え、化合物ライブラリからin vitroアッセイ系で、「有効性」を指標にスクリーニングされ、網羅的な探索基盤が確立されている。そのため、食品分野においても、食経験を有する化合物ライブラリからスクリーニングされているものの、定着していない。それは、厳格な用法/用量があり、薬効/副作用のバランスで利用される医薬品と、存在し得ないゼロリスクまで求められる機能性食品では、求められる要素が異なっているにも関わらず、医薬品の開発戦略を参考にしていることに起因している。したがって、様々な身体の不具合に対応可能な機能性食品を数多く開発するためには、食品ならではの「安全性を軸とした戦略」が必要である。</p><p>そこで、本シンポジウムでは、食経験を有した化合物ライブラリから、「安全域の広さ」、つまり効能が得られ始めてから有害事象が発生する直前までの摂取量の幅を指標に機能性食品成分を網羅的に探索する「安全域に着目した分子標的機能性食品の開発」という新規概念を提示し、その有用性実証を目指した取り組みを紹介させていただき、安全で有用な機能性食品の効率的な開発について、議論させていただきたい。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574666166696960
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_s36-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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