毒性発現メカニズムに基づく有害性予測を実現する Computational toxicology systemの開発
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- 山田 弘
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
書誌事項
- タイトル別名
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- Development of a computational toxicology system that realizes toxicity prediction based on the mechanism of toxicity
抄録
<p> 医薬品安全性研究においてComputational toxicologyの重要性が増している。Computational toxicologyは、主に創薬の非常に早い段階において用いられる低コストでハイスループットな毒性スクリーニング手法を提供する。またComputational toxicologyは従来の医薬品安全性評価を補完及び拡張することが期待できる。さらに、毒性研究においても動物の使用に関する3Rsの原則の尊重を求められているが、Computational toxicologyは毒性研究における動物の削減に寄与すると考えられる。</p><p> 近年のコンピューティングリソースと機械学習方法論の顕著な進歩にともない、Computational toxicologyアプローチは非常に多様化している。これらのアプローチとしては、複数要因の複雑な関係を処理する多変量解析/パターン認識や、専門家の知識をルールとして取り込んだエキスパートシステムなどが含まれる。特に最新技術である深層学習はビッグデータを活用した毒性学的解釈の多様化や深層化を可能にすることが期待される。一方で医薬品のリスクアセスメント及びマネージメントにおいては、極めて複雑/多様な毒性メカニズムの解釈や関連分野で得られた多くのデータ/知識の統合的活用が必要となる。この知識には、主観的で非言語的な暗黙知として一部の専門家の間でのみ共有されている知識も含まれる。従って、Computational toxicology systemを有効に活用するためには、体系化した様々な知識の中から必要となる知識を適切にナビゲートする新たな知識システムの開発も必要となる。</p><p> 本講演では、我々のComputational toxicology system開発に関する取組みについて紹介するとともに、Computational toxicologyの課題及び展望について議論したい。</p><p>謝辞:本研究は、AMEDの課題番号JP19nk0101103(インフォマ)及びJP21nk0101111(DAIIA)の支援を受けた。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), S40-3-, 2022
日本毒性学会