ヒト用医薬品の環境モニタリングおよび環境動態予測手法の構築

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タイトル別名
  • Development of Environmental Monitoring and Simulation Methods for Human Pharmaceuticals in Japanese River Water

抄録

<p>ヒト用医薬品の環境影響を評価するためには,環境動態予測手法の構築が必要である。そこで我々は国内において処方量が多い医薬品を中心に水環境中の存在実態を把握するための全国モニタリングを行い,高頻度あるいは高濃度に検出された医薬品については季節変動等の詳細な解析を行った。さらに,環境中濃度これらの医薬品についての環境動態予測のための物性パラメータを取得し,環境動態モデルの検証を行った。</p><p>医薬品モニタリングに関しては,国内処方量の多い医薬品等,111医薬品のLC/MS/MS分析条件の最適化およびLC/MS/MS一斉分析条件を検討した。全国の研究協力機関に河川水および下水処理場放流水の採水を依頼し,2018〜2022年に掛けて25都道府県の調査を実施した。採水試料は速やかに前処理を行い,LC/MS/MSにより河川水・下水処理場放流水など合計700試料を分析した。その結果,調査対象とした111医薬品のうち91医薬品が検出され,濃度分布と季節変動に関する情報を取得した。全国を4地域に分けて検出率・検出濃度を比較した結果,地域による違いは見られなかったが,幾つかの水系では季節変動が見られ,秋・冬に濃度が高く,春・夏に濃度が減少する医薬品が多かった。医薬品の用途による使用量や河川流量の季節変動により,水環境中濃度にも季節変動が見られると考えられる。</p><p>環境動態モデルの検証に関しては,産総研-水系暴露濃度予測モデル「AIST-SHANEL Ver.3.0(250 mメッシュ全国水系版)」を用いて全国の河川水中医薬品濃度の予測を行い,AIST-SHANELがヒト用医薬品に適用できるかどうか検証した。その結果,河川への負荷量が一定量以上の医薬品に関しては,水中半減期が極端に短いものでない限り,AIST-SHANELにより河川中濃度を予測可能と思われた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390574666166744704
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_s42-2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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