データ寡少な東南アジア流域における衛星気象データセットの評価および分布型降雨流出モデルヘの適用
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- 舩橋 篤史
- 九州大学大学院生物資源環境科学府環境農学専攻生産環境科学教育コース水環境学研究室
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- 平松 和昭
- 九州大学大学院農学研究院環境農学部門生産環境科学講座水環境学研究室
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- Trieu Anh Ngoc
- ベトナム・テュイロイ大学HCMCキャンパス科学技術・国際部門
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- 原田 昌佳
- 九州大学大学院農学研究院環境農学部門生産環境科学講座水環境学研究室
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- 田畑 俊範
- 九州大学大学院農学研究院環境農学部門生産環境科学講座水環境学研究室
書誌事項
- タイトル別名
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- Evaluation of Satellite Meteorolo gical Datasets for their Application to the Distributed Rainfall-runoff Model in Scarce-data Southeast Asian Watersheds
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説明
本研究は,東南アジアのデータ寡少流域を対象とした衛星気象データの評価,バイアス補正手法の開発,およびそれらの衛星データの分布型降雨流出モデルヘの適用を目的とした.ベトナム南部に位置するThac Mo流域を降雨流出解析の対象とし,ベトナム南部のSai Gon-Dong Nai川流城およびタイChaoPhraya川下流城を衛星データ評価対象流城とした.初めに,分布型降雨流出モデルの人力値である流城境界,標高,土地利用,降雨量,蒸発散量,貯水流人量を人手した.降雨織は,地上観測データに加えて,5種類の衛星データAgMERRA, IMERG, MSWEP,PERSIANN-CDR, TMP Aを入手した.蒸発散量は,流域の地上観測データが入手できなかったためThornthwaite法により算出したほか,衛星気温データAgMERRAから算出したデータと衛星蒸発散量データGLEAMを人手した.モデル入力に適した衛星データを選定するため,データ評価を行った. 誤差指標MAE, RMSE, PBIAS, CCを計算し,推定精度の高いデータとして降雨屎はIMERG, 蒸発散量はAgMERRAを選定した.次に,空間分布指標SPEと空間マッピングによる評価の結果から,空間分布パターンの適合性の高いデータとして降雨量はAgMERRAおよびMSWEP, 蒸発散量はAgMERRAを選定したこれらの衛星データに対し,月ごとに計算したPBIASを使用したバイアス補正を行った.土地利用別タンクモデルを導入した分布型流出モデルを構築し,地上観測データおよびバイアス補正対象の衛星データを人力値とするモデル計算を行った.各計算ケースについてNSEを計算し,モデル再現精度を評価した結果,推定精度が高い衛星データは降雨流出解析に十分適用可能であり,地上観測データの空間分布パターンとの適合性が高い衛星データはバイアス補正により降雨流出解析に適用可能となることが示された.しかしながら衛星データを使用した降雨流出解析のモデル再現精度は,バイアス補正手法を適用した場合でも,地上観測データのみを使用した場合を下回った.そのため衛星データを使用した降雨流出解析は,地上観測データが人手できない流域での適用が実用的であり,そのような流域においても精度向上のための地上観測体制の充実に努めることが期待される.また,データ開発者においては, さらなる高精度の衛星データの開発が期待される.
収録刊行物
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- 九州大学大学院農学研究院学芸雑誌
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九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 77 (2), 49-71, 2022-09
九州大学大学院農学研究院
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390574876232622336
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- NII書誌ID
- AA11577672
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- DOI
- 10.15017/4797837
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- HANDLE
- 2324/4797837
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- ISSN
- 13470159
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB