右胸腔内に有茎性に発育・穿破した縦隔成熟奇形腫の1切除例

  • 戸田 洋
    秋田厚生医療センター呼吸器・乳腺外科
  • 木村 愛彦
    秋田厚生医療センター呼吸器・乳腺外科

書誌事項

タイトル別名
  • A resected case of ruptured mature teratoma growing into the right thoracic cavity

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抄録

<p>症例は56歳,女性.喘鳴と右胸背部痛を主訴に前医を受診し,胸部単純X線検査で大量の右胸水を認めたため,持続胸腔ドレナージが開始された後,当院へ転院した.胸部CT検査では右胸腔内に不整に造影される長径9 cm大の腫瘍を認め原発性肺癌が疑われたが,胸水細胞診では悪性所見は得られなかった.腫瘍マーカーの上昇は認めなかったが,胸水中アミラーゼ値が異常高値であったため,アミラーゼ産生肺癌などを念頭に置き,診断目的に手術を施行した.胸腔内は強固に癒着していたものの,剥離を進めると前縦隔から右胸腔内に有茎性に発育する,充実成分と囊胞成分が混在した腫瘍を認め,肉眼的に完全切除を行った.術中迅速診と永久標本の病理組織学的所見は,いずれも成熟奇形腫の診断であった.</p><p>胸腔内に穿破した成熟奇形腫の報告は多いが,胸腔内に有茎性に発育し穿破した症例は検索し得ず,非常に稀な症例と考えられた.</p>

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参考文献 (8)*注記

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