宍道湖における消波堤造成を伴うヨシ植栽事業が湖岸表層底質環境に与えた影響

  • 小室 隆
    国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所 東京大学大学院新領域創成科学研究科
  • 安部 雄大
    東京大学大学院新領域創成科学研究科
  • 山室 真澄
    東京大学大学院新領域創成科学研究科 国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Impact of a reed planting project with construction of breakwaters on surface sediment at the shore of Lake Shinji
  • シンジコ ニ オケル ショウハテイ ゾウセイ オ トモナウ ヨシショクサイジギョウ ガ コガン ヒョウソウテイシツ カンキョウ ニ アタエタ エイキョウ

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抄録

<p> 本研究では宍道湖における消波堤造成を伴うヨシ植栽事業の影響について,化学分析を用いて表層堆積物への影響を調べた。鹿園寺地区の消波堤が設置された地点の表層の底質は,消波堤が設置されていない場所に比べ,有機炭素・窒素濃度,全リンが高くなっていた。ヨシが植栽された西岸ヨシ群落においては,群落の沖側は群落の内側の水域に比べ,底質中の有機炭素・窒素,全リンが高くなっていた。さらに全硫化物濃度は,鹿園寺地区の消波堤の内側において,基準点とした鳥ヶ崎の約60倍の値になっていた。<br> 鹿園寺地区での消波堤内外の比較結果から,波浪の影響により底面が撹乱され砂地が形成される湖岸では,本来は好気的で砂程度の粒径が大部分を占めるが,消波堤が設置された内側では有機物の増加,底質の細粒化が進行し,硫化物の増加が確認された。この結果は,宍道湖で行われた消波堤造成を伴うヨシの植栽において,ヨシが直接的に堆積物表層の有機汚濁を進行させたのではなく,消波堤を設置したことによる水理状況の変化が要因と考えられる。</p>

収録刊行物

  • 陸水学雑誌

    陸水学雑誌 82 (3), 139-148, 2021-09-25

    日本陸水学会

参考文献 (9)*注記

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