耳鼻咽喉科・頭頸部外科の大学院と男女共同参画―with/after コロナ時代の働き方改革に向けて―

  • 楯谷 智子
    京都先端科学大学健康医療学部言語聴覚学科

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抄録

<p> 大学における耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (以下, 耳鼻咽喉科) 学の研究活動においては, 大学院博士課程の学生である若手医師の果たす役割が大きい. 耳鼻咽喉科の大学院と男女共同参画につき, with/after コロナ時代の働き方改革に向けた課題を知るために, 京都大学医学部耳鼻咽喉科学教室同窓会医師会員を対象に2つの調査を行った. その結果を報告する.</p><p> 1つ目は, 同窓会報を利用して耳鼻咽喉科医師の大学院進学と博士取得,そしてその後のキャリアを調査した. 会員の大学院進学率は, 有意に女性が少なかった. 大学教員経験者は全員博士であり, 大学教員と博士の強い関連が認められた. 卒後18年以上の10学年分の会員については, 大学教員経験者は男性21.6%, 女性3.5%であったが, 博士に限ると男性48.5%, 女性40.0%と性差は縮小し, 大学教員経験者の女性が少数なのは女性博士が少ないためであることが示唆された. 大学院生の低い女性比率は大学研究活動における男女共同参画の課題であり, その向上のための施策が必要と考えられた.</p><p> 2つ目は, 会員を対象としたアンケート調査「耳鼻咽喉科医師の研究活動およびワークライフバランスに対する COVID-19 感染拡大の影響」である. アンケートからは, 研究の支障・学会活動の機会損失という負の影響と, 論文執筆の時間確保という正の影響が窺えた. 今回の調査は限定的なものであり有意差はないものの, COVID-19 感染拡大による仕事と生活のバランスへの悪影響は, 性別で見ると女性に小さく, 役職別で見ると大学所属の助教・講師や大学院生に大きい傾向があった. 以上の結果より, 大学所属の若手教員や大学院生に働き方改革の推進がより望まれるが, このことは女性の大学院進学率上昇にも寄与するかもしれない.</p>

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