造血不全と<i>TP53</i>活性化変異

  • 伊藤 悦朗
    弘前大学大学院医学研究科 地域医療学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Bone marrow failure and <i>TP53</i> activating mutations
  • 造血不全とTP53活性化変異
  • ゾウケツ フゼン ト TP53 カッセイカ ヘンイ

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抄録

<p>遺伝性骨髄不全症候群(IBMFS)は,骨髄不全,先天異常,発がん素因を特徴とする遺伝性疾患である。がん抑制因子p53は転写因子であり,様々なストレスで活性化され,アポトーシス,細胞回転停止,DNA修復に関わる遺伝子を誘導する。多くの研究から,p53活性化がIBMFSの病因の中心である可能性が示唆されてきた。我々はDiamond-Blackfan貧血(DBA)に似た骨髄不全症例のエクソーム解析から,TP53活性化変異によって起こる新たなIBMFS(生殖細胞系列TP53活性化症候群)を見出した(BMFS5; OMIN)。最近,同じTP53変異をもつ症例が追加で報告され,本疾患の表現型がさらに明らかになった。この疾患の発見により,p53の活性化がIBMFSを引き起こすという従来の仮説が裏付けられた。この総説では,この新規IBMFSに焦点を当てて,p53の過剰な活性化と骨髄不全との関連について考察する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 63 (9), 1115-1125, 2022

    一般社団法人 日本血液学会

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