有害駆除がニホンザルの行動圏利用に与える影響

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タイトル別名
  • Effect of administrative extermination on the home range use of Japanese <i>Macaque</i>.

抄録

<p>徳島県の3市町村境を遊動域とするニホンザルSKT-A群に対し、有害駆除が行動圏利用に与える影響を調べるため、2016年、2018年、2020年にGPS首輪を装着して行動圏の経年変化や生息地利用への影響について調査した。調査に用いたGPS測位データは、精査した2016年、2018年、2020年の3月-12月を用いた。その結果、調査期間中の有害駆除によって群れの個体数は2016年1月に153頭から2018年2月に100頭、2020年1月に63頭まで縮小したが、分裂行動は見られなかった。行動圏はカーネル法(95%、50%)により年毎のデータを用いて推定した結果、2016年と2018年では変化は見られなかったが、2020年には両者とも縮小した。次に月毎のデータで推定した面積を年間で平均して行動圏面積とした結果、50%カーネル行動圏の面積が頭数との間で有意な相関性を示した。また、月毎の生息地利用の選好性を植生カテゴリ別にベイズ推定で評価したところ、群れサイズ縮小とともに、常緑広葉樹林は10月-12月に、農耕地等は7月-8月にかけて選好性が高くなった。以上の結果から、泉山(2010)の報告と同様に、本研究でも有害駆除の実施によって、群れの行動圏は縮小した。特に月毎の50%カーネル行動圏に有意に影響を与えることが明らかになった。それに加え、本研究地域では、7月-8月の農耕地等への選好性が高くなることから、この時期の農作物被害対策を強化させる必要があると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390575141547016704
  • DOI
    10.14907/primate.38.0_61
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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