Retrodeformation and morphology of a cranial thoracic vertebra in <i>Nacholapithecus kerioi</i>
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- KIKUCHI Yasuhiro
- 佐賀大・医
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- AMANO Hideki
- 東京大・理院
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- OGIHARA Naomichi
- 東京大・理院
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- NAKATSUKASA Masato
- 京都大・理院
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- NAKANO Yoshihiko
- 大阪大・院人間科学
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- SHIMIZU Daisuke
- 中部学院大・看護リハ
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- KUNIMATSU Yutaka
- 龍谷大・経営
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- TSUJIKAWA Hiroshi
- 東北文化学園大・医療福祉
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- TAKANO Tomo
- 日本モンキーセンター
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- ISHIDA Hidemi
- 京都大
Bibliographic Information
- Other Title
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- ナチョラピテクス上位胸椎の変形復元および形態特徴
Abstract
<p>ナチョラピテクスの胸椎標本KNM-BG 48094は第3~5胸椎と推定され,化石化の過程で変形しているものの多くの部位を残している。このことから変形成分を除去して原型復元し,三次元幾何学的形態測定法により現生種との比較分析を行った。大型類人猿3種,小型類人猿1種,旧世界ザル13種(樹上性6種,地上性7種),新世界ザル2種の第3~第5胸椎を対象とし, CTスキャナーを用い三次元表面形状を計測した。標本数は各種1~2個体である。次に,KNM-BG 48094を含む各標本において相同点85点を決め,Procrustes法によるサイズの正規化と位置合わせを行い,標点座標を主成分分析で解析した。分析の結果,ナチョラピテクス胸椎は,アヌビスヒヒ,パタスモンキー,ムーアモンキーの胸椎に相対的に類似していたため,これら3種の第1~6主成分を用いて,変形成分の除去を行った。具体的には,形態空間においてこれらの椎骨標本分布を最適近似する超平面を計算し,それに対して垂直な成分を化石標本の土圧による変形成分として抽出し,選択的に除去する形状変換を行った。復元されたナチョラピテクス胸椎は,現生の旧世界ザルや新世界ザルとは異なり,椎体の尾側幅が広く,横突起はより背側を向きその基部も椎弓板の背側寄りから起きているが,類人猿ほど顕著ではなかった。ただ,横突起の長さはゴリラに似て長い。さらに,ナチョラピテクス胸椎は,ヒヒ、パタス、マカクといった地上傾向の強い旧世界ザルやゴリラのように椎体が頭尾方向に短い一方で,両側の上関節突起関節面がなす角度は樹上性サル類に近い値を示した。また,棘突起基部は尾側を向き,旧世界ザルと新世界ザルの中間的な値を示した。こうした上関節突起や棘突起基部の特徴は現生類人猿とは異なる。ナチョラピテクス上位胸椎は,多くの部位で現生類人猿とは異なるサル的な特徴を示す一方で、現生類人猿とサル類の中間的な特徴も有していることから,サル類とは異なる機能適応が示唆された。</p>
Journal
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- Primate Research Supplement
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Primate Research Supplement 38 (0), 57-, 2022
Primate Society of Japan
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390575141547034112
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
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- Abstract License Flag
- Disallowed