チリ第10州における地域拠点型漁業管理

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タイトル別名
  • Community-Based Fisheries Management (CBFM) approach in Region 10<sup>th</sup>, South of Chile: Impact of regional status
  • Community-based fisheries management (CBFM) approach in region 10th, south of Chile: impact of regional status
  • ―地域漁業への影響―

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抄録

<p>“Community-based Fisheries Management (CBFM)”(地域拠点型漁業管理)の概念に基づき,チリ政府は底棲資源の利用と管理を担う新しいシステム(Management and Exploitation Areas (AME) for Benthic Resources)の導入をはかっている。AMEはチリで最も革新的な沿岸域水産資源の管理手法といわれている。最初にAMEを導入した地域がよい結果を見せているため,AMEの導入が全国的に進んだが,AMEが地域漁業にどのように根付き,あるいは,それがどのような影響を与えるのかについては明らかにはなっていない。本論文は,チリ南部の第10州の沿岸零細漁業を事例に,AMEの導入がどのように進み,地域漁業にいかなる影響を与えているかを検討するのを目的としている。具体的な課題は,第1に,第10州におけるAMEを対象に,SWOT分析を実施することである。第2に,AMEを発展させるための漁業者の認識および関心について明らかにすることである。第3には,AMEの実施に大きな影響を与える漁業団体について検討することである。第10州の115漁村を対象にキーインフォーマントインタビューを実施し,SWOTとSpearman bivariate分析を用いた。</p><p>第10州は,国内最大の底棲生物の水揚げ産地であり,それを漁獲対象にした漁業者が多数いる。同じ海域を利用する漁業者の団体が多数あるため,AMEが対象とする海域を確定するのが困難になることもある。一般的には,AMEが設定される海域は漁村に近接しているが,第10州では漁村から遠く離れたところにAMEを設定せざるをえなくなっている。そのためAMEの監視費用が増加している。一方,AMEの設定は,マーケティングの拡大化と安定化には貢献している。AMEの設定初期には政府からの支援が必要であるが,これが必ずしも十分ではない。AME受益者の関心は,監視費用,マーケティングの向上,違法捕獲である。AMEを実施する上で重要な要因は,設定海域からの排除,マーケティングの安定と向上,地域社会に対する訓練と権限機能の強化である。</p>

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