日常生活の自明性によるクレイム申し立ての「予めの排除/抹消」

DOI
  • 松浦 優
    九州大学大学院 人間環境学府 博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • “Foreclosure/Erasure” of Claims-Making by the Everyday Life as Taken for Granted: Discourse Analysis about “Fictosexual” as Sexuality that does not Conform to “Sexual Orientation”
  • −「性的指向」概念に適合しないセクシュアリティの語られ方に注目して−

抄録

<p>日常生活の自明性によってクレイムが予め締め出される事態について、ジュディス・バトラーの「予めの排除」概念とアセクシュアルの「抹消」に関する議論をもとに考察する。事例として、架空のキャラクターへの性的惹かれに関わる造語「フィクトセクシュアル」をめぐるウェブ上の投稿を分析する。</p><p>当事者の一部からは、性的マジョリティを名指す概念として「対人性愛」という造語を用いることで、性的表現を愛好する立場から性愛規範や恋愛伴侶規範を批判するという投稿が見られた。他方、フィクトセクシュアル・カテゴリーの正当性を疑問視する投稿では、性的・恋愛的な対人関係に関わる生得的な「性的指向」ではないという理由が持ち出されていた。さらに、フィクトセクシュアルを「オタク」あるいは「恋愛」という枠組みに回収することによって、性に関する従来の解釈図式を維持する、という「マジョリティへの回収による抹消」が確認された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390575418100244864
  • DOI
    10.50885/shabyo.36.0_67
  • ISSN
    24362174
    1342470X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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