HIV 陰性患者に生じた原発性体腔液リンパ腫の 1 例

  • 南部 順一
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター病理診断科
  • 仲里 巌
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター病理診断科
  • 山村 育子
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター臨床検査部

書誌事項

タイトル別名
  • A case of primary effusion lymphoma in an HIV-negative patient

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抄録

<p>背景:原発性体腔液リンパ腫(PEL)は,主に human immunodeficiency virus(HIV)感染患者に生じるまれな B 細胞性リンパ腫である.今回われわれは HIV 陰性患者に生じた PEL の 1 例を経験したので報告する.</p><p>症例:宮古諸島在住の 68 歳,男性.呼吸苦,右腰部痛で前医受診.CT にて右胸水の貯留を認めたため胸水細胞診が行われた.その結果,悪性リンパ腫の疑いとなり当院紹介.胸水中には核異型の強い異型細胞が多数みられた.セルブロックで異型細胞は CD20 陰性で,CD30,LANA-1 陽性を示していた.全身検索にて他の病変は指摘されず PEL の診断に至った.HIV 抗原抗体検査は陰性であった.</p><p>結論:PEL は HIV 感染による免疫不全状態にある患者に発生することが多く,HIV 陰性患者にはまれな疾患である.Human herpesvirus type-8(HHV8)の感染率の高い地中海沿岸地域などでは正常免疫状態にある高齢者に発生する症例が報告されている.宮古諸島は HHV8 の感染率が高く,この地域で HIV 陰性の高齢者の体腔液中に大型の異型リンパ球を見た場合は PEL の可能性も十分に考慮すべきであると考える.</p>

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