アニメーション的な誤配としての多重見当識――非対人性愛的な「二次元」へのセクシュアリティに関する理論的考察

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  • Multiple Orientations as Animating Misdelivery: Theoretical Considerations on Sexuality Attracted to Nijigen (Two-Dimensional) Objects

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抄録

本稿の目的は、対人性愛に還元されない「二次元」へのセクシュアリティが存在可能であることと、そのようなセクシュアリティがいかに社会で不可視化されるのかということを、ともに説明できる理論を提示することである。まず、先行研究で対人性愛が自明化されてきたことを批判したうえで、「二次元」への欲望を「人工環境と化した知識集積にもとづいて制作された人工物」への欲望として定式化する。次に、性別二元論と対人性愛中心主義を批判する理論を東浩紀による否定神学批判から引き出したうえで、現実社会における規則や規範の再生産を空転させる「アニメーション的な誤配による攪乱」を理論化する。最後に、こうした非対人性愛的なセクシュアリティが、抑圧や禁止とは異なる「ただ意味を失う」という仕方で巧妙に抹消されることを、バトラーとウィニコットに依拠しつつ論じる。以上を踏まえて、対人性愛を自明視しないための今後の研究方針を提示する。

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