山地帯から亜高山帯で見つかった日本新産の地衣生菌6種

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タイトル別名
  • Six Species of Montane and Subalpine Lichenicolous Fungi New to Japan

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抄録

<p>山地帯から亜高山帯で採集した地衣類標本を観察した 結果,日本新産の地衣生菌6 種を確認した.Abrothallus parmeliarum は子嚢上層がK+ 緑色であることを特徴とし,カラクサゴケ属(ウメノキゴケ科)のParmelia cf. adaugescens の子器や裂片上に寄生していた.Arthonia digitatae は子嚢層を構成する菌糸が非常に細く,幅(1.0–)1.2–1.8(–2.0) µm 程度であることが特 徴であり,ハナゴケ属(ハナゴケ科)のウロコハナゴ ケCladonia squamosa の基本葉体上に寄生していた.Lichenopuccinia poeltiiは褐色~黒色の分生子果の基部に 2 ~3 隔壁の透明な分生子を形成することを特徴とし,トゲナシカラクサゴケParmelia fertilis の裂片に寄生していた.Reconditella physconiarum は黒色の子嚢果が宿主の子器托や宿主の腹面に発生し,単室,褐色,いぼ状の子嚢胞子を持ち,ヒメゲジゲジゴケ属(ムカデゴケ 科)のヒメゲジゲジゴケAnaptychia palmulata で見られた.Stigmidium subcladoniicola は黒色の子嚢果,2 室,透明で(6.1–)6.6–7.8(–8.0) × (2.3–)2.5–2.9(–3.3) μm の 小さい胞子を持つことが特徴であり,アカミゴケモドキ Cladonia stramineaの基本葉体上で見られた.Vouauxiella lichenicola は黒色の分生子果,鎖状に連結した緑色の 分生子を持つことが特徴であり,ゴイシゴケ様地衣類 Lecideoid lichen の地衣体上で見られた.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 97 (1), 23-32, 2022-02-20

    植物研究雑誌編集委員会

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