せん妄/高齢者における脳症 ―神経老年学的アプローチ―

DOI
  • 榊原 隆次
    東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチームDST/脳神経内科
  • 澤井 摂
    東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチームDST/脳神経内科
  • 桂川 修一
    東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチームDST/精神科
  • 水野 裕仁
    東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチームDST/精神科
  • 長尾 考晃
    東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチームDST/脳神経外科
  • 根本 匡章
    東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチームDST/脳神経外科

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanism of delirium/ elderly encephalopathy : a neuro–geriatric approach

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抄録

<p>せん妄は,急性の認知機能の低下と意識の低下が同時にみられるもので,不穏・行動異常をしばしば伴う.せん妄は,歩行障害を同時に伴うことが非常に多い.基礎に加齢性脳疾患(Alzheimer病+白質型多発性脳梗塞,またはLewy小体型認知症,アルコール(中毒)症に伴う認知症など)に伴う認知症・歩行障害がある高齢者に,a)急性の頭蓋内病変,または b)急性の全身疾患が重畳することで起きることが多く,a)とb)の比率は15% : 85%とも言われ,後者が多い.後者の代表的なものである誤嚥性肺炎・手術後などによる全身炎症に伴う脳症は,末梢のTNF alpha等のサイトカインが,血液脳関門を通過し,神経障害を起こすことが推察されている.せん妄患者をみた際,加齢性脳疾患,急性の頭蓋内または全身疾患を,できるだけ同時に評価し,治療ケアを行うと良いと思われる.さらに,これらを考慮した発症前の,せん妄ハイリスク患者の予防ケアも望まれる.</p>

収録刊行物

  • 神経治療学

    神経治療学 39 (3), 412-416, 2022

    日本神経治療学会

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