<論説>法定鋳銭額からみた平安前期の周防鋳銭司

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>A Study of the Government Mint in Suō Province, Based on the Number of Coins Minted There
  • 法定鋳銭額からみた平安前期の周防鋳銭司
  • ホウテイチュウセンガク カラ ミタ ヘイアン ゼンキ ノ スオウチュウセンシ

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抄録

本稿は、天長二年(八二五)に周防国吉敷郡に成立した鋳銭司(周防鋳銭司)について文献史料を中心に検討する。鋳銭司が一年間に鋳造すると定められた銭貨の額(法定鋳銭額)は、鋳銭司の活動規模を知る上で重要なバロメーターで、先行研究でも変遷が議論されてきた。本稿は史料を再検討し、従来の説とは異なり、原料に旧銭を加えることで、九世紀前半には一貫して一万一〇〇〇貫文鋳造体制をとり、九世紀末から一〇世紀にも三五〇〇貫文鋳造体制を維持したことを指摘した。また鋳銭の原料は鋳銭額に応じて算定されるが、その計算式は九世紀初頭から一〇世紀まで変動しないことを明らかにした。この間、原料に旧銭が加わったことで、帳簿と実態の乖離が生じたと思われるが、銭貨の小型化は、鋳銭司による帳簿と現実のすり合わせと見ることもできることを論じた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 105 (4), 521-553, 2022-07-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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