<論文>Jホラーにおける変異としてのメディアミックス --撮影所システムの崩壊と映画のデジタル化を背景に

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  • 宮本 法明
    京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程

抄録

1990年代以降の日本におけるホラー映画(Jホラー)には『パラサイト・イヴ』(落合正幸監督、1997年)や『らせん』(飯田譲治監督、1998年)など、感染症の流行や生殖技術の発達を背景にウイルスやクローンを描いた作品がある。これらはいずれも角川書店がホラー作品の販売を促進するためのメディアミックス戦略と深く関わっている。瀬名秀明の原作小説『パラサイト・イヴ』は、角川が創設した日本ホラー小説大賞を初めて受賞した作品だ。また、鈴木光司の原作小説『らせん』は角川ホラー文庫のラインナップ第一弾に選ばれた『リング』の続編である。角川書店は1998年に『リング』と『らせん』を二本立てで公開するが、元々は『らせん』の単独企画だった。本稿では『パラサイト・イヴ』が角川書店の社長が交代した時期に生まれたハイブリッドであり、『らせん』において角川のメディアミックスがウイルスの変異として自己言及的に描かれていることを示す。Jホラーは身体性の抑圧やメディアの物質性に対する反省的意識に特徴づけられてきたが、このようなメディアミックスとの関係をたどることでテクノロジーを介した生殖や映画のデジタル化との接点が明らかになる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390575661589943936
  • DOI
    10.14989/kjcms_2_34
  • ISSN
    24366013
  • HANDLE
    2433/277440
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
  • 抄録ライセンスフラグ
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